故郷に錦を飾る
今年、プロ野球関連のニュース中で最も話題となったのが、黒田博樹選手がメジャーリーグから広島東洋カープに復帰したことではないでしょうか。
しかも、ただ復帰するだけではなく、見事なピッチングでチームの勝利に貢献し続けています。カープファンでなくても彼が投げる試合は注目を集めますし、野球をしている人にとっては、いいお手本になっているのではないでしょうか。
ご存知のとおり、この黒田選手は、メジャー球団から約21億円ものオファーを受けながらも古巣である広島へ約4億円の年俸で帰ってきたということで、日本中から「男気」のある人だと話題を集めた選手です。自らのキャリアや高額な年俸よりもファンの気持ちや感謝の気持ちを最優先に考えたことが男気を感じさせたのではないでしょうか。
まさに一球入魂、決して手抜きをしない真剣勝負は、一方で選手生命を危うくするリスクも背負っているだけに、そうしたサムライ魂を持った男の生き様もファンを魅了する原因だろうと思います。
そんな黒田選手も高校時代での3年間は、ずっと控え選手でした。試合に出られなくてもひた向きに努力した高校時代の下積みが後の野球人生の糧となっているわけです。
ことわざに、「故郷に錦を飾る。」というものがありますが、彼の場合は、故郷に錦を飾るだけでなく、人々に夢や希望を与え、その錦をさらに美しく輝かせ続けているように思います。
広島東洋カープにとって、ファンにとって、いや日本にとって黒田選手は「宝」といっても過言ではないように思います。
ところで、私達の宝といえば、子どもたちです。
私は、常々、この宝をどのように磨けば輝くかを考えておりますが、わが国では昨今、いじめが横行しており、悲しい事件が後を絶たず、心を痛めております。
携帯電話や、インターネットが普及する中、学校も家庭も手を焼く状況が続いており、解決策が見いだせないまま、問題が起きれば何故か誰もが自分は棚上げし、責任追及論となってしまい、誰も責任をとろうとしないのが実情です。
また、大人であっても子ども同様、社会の中で自分が「いじめられたくないから」「人に良く思われたいから」といった理由から多数派に身を置いた方が楽だと考え、行動をとってしまう人も少なくありません。
これでは、自分というものが失われてしまい、子どもに示しがつきませんし、子どもの前に大人が萎縮して潰れてしまうのでは、と心配しています。
「Boy’s be ambitious(少年よ、大志を抱け)」は、今や「中年よ、大志を抱け」と、まずは親の世代向けに代えなければならないのかもしれません。
日本国内で同じ言葉を喋っていても大きな声がまかり通るご時世にあって、極めて小さいながらも声なき声を拾ってみれば、「誰かが救世主となって努力が実を結ぶ正義が勝つ世の中に変えてほしい」とそんな期待や希望も水面下で膨らんでいると私は受けとめています。
そこで今こそ行政が「最後の砦」となって新たな教育の指針を示すべき時と考えます。
その一環として、上毛町では友好の翼といって、児童・生徒を英語圏の国へ研修に連れて行くという事業を24年間実施してきましたが、この事業を少しテコ入れし、今年度からタイの首都バンコクを研修地とすることにしました。
タイは、日本と長い友好関係が築かれていて、日本同様英語が母国語ではありませんが、小学校から英語教育が行われています。バンコクで一流と言われる学校では、学校側は親を校舎に入れさせず、責任を持って教育を行い、英語を含む学力全般で大きく上毛町を上回っています。
一方、貧しい家庭に生まれたことなどから学校に行けなかった多くの子ども達は物心ついた頃から働いています。そして、観光メインのこの国では、モノを売るために英会話が求められます。このため、彼らは外国語(英語・日本語等)をしゃべることができるのです。
夢が無い、夢を持てない日本と少し離れて各自が英語に限らず何らかのテーマを持って学ぶ為のきっかけや未来への希望づくりになれればと思っています。
「百聞は、一見にしかず」です。現地で受けた刺激や経験を糧とし、子ども達には、社会で通用するよう逞しく育って欲しいと願っております。
さらには、黒田選手のように、大事なものを見失わず、決して諦めず努力して欲しいと思いますし、故郷に錦を飾るだけでなく戻ってきてもさらに輝き続けるような人になって欲しいと考えています。
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更新日:2020年04月01日